No.49 宝塚のイタリアンレストラン ロッソネロ 「rosso nero」植松寛さん

2017.05.25 Thursday 13:40
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    rosso neroと阪急逆瀬川駅

     

     阪急逆瀬川駅から16号線を有馬方向にゆるやかな坂道を上ったマンション街の一角、アヴェルデ4番館の2階にイタリアンレストラン「rosso nero(ロッソ ネロ)」がある。このレストランを訪ねたのは、2013年盛夏だった。

     私達は長年住み慣れた東京を離れ、宝塚にやって来たばかりだった。同じ日本とは思えぬ慣習の違いに戸惑う日々であった。昼食を取ろうとレストランに入ると、立派な木製の梁と白壁、オシャレな額装とピアノ、窓から望む緑豊かなロケーション、まるでイタリアのリゾート地を訪れたような気分になる。厨房の青年が初々しい笑顔で迎えてくれた。その人がオーナーシェフの植松寛(うえまつひろし)さんである。ストレスと緊張感から解放され、ホットできるひと時を過ごした。勿論、味も充分に満足出来た。

     転居する3年程前から家を捜すため、何度かrosso neroのあるアヴェルデ(マンション名)を訪れたことがあった。だが、その頃は、こんな洒落たレストランはなかった。rosso neroは、イタリア語で赤と黒という意味。後に、植松さんが小中高時代にサッカー少年であり、昔からイタリアのサッカーチームACミランが大好き、チームカラーのrosso(赤)とnero(黒)も気に入っていたことを知り、その由縁に納得したのだった。

     

    rosso nero に隣接する「ゆずりは公園」 春になると桜が美しい

     

    料理人になるきっかけと修行

     

     植松さんは、幼少期から母親の横で料理の手伝いをするのが好きだった。その頃、テレビドラマで「イタ飯ブーム」というのが流行していた。そこに登場するお洒落なイタリア料理を見て強い興味をひかれ、イタリア料理のコックになりたいと思ったのだという。

     そして高校3年生の時、阪急宝塚南口駅から徒歩5分のところにある昭和21年に創業した老舗のイタリアンレストランアモーレ・アベーラ」でアルバイトをしようと、誰の紹介もなく自分の意志で飛び込んだ。レストランには絵画がたくさん飾られ、実にゴージャスな雰囲気、宝塚セレブやタカラジェンヌが通う誰もが知るレストランであった。オーナーは従業員には厳しかったが、アルバイト学生の植松さんには優しく接してくれた。「どうしてもコックになりたい」と植松さんが告げると、オーナーはキッチンでも働かせてくれた。

     高校を卒業すると大阪にある料理専門学校、辻学園に入学、そこで1年間授業を受けた。辻学園では、まずは和洋中全般と製菓と製パンの基礎を教え、その上で興味のある人はフランス料理やイタリア料理を学ぶカリキュラムが用意されていた。卒業後、神戸、大阪、京都のイタリア料理店で修行を重ねた。植松さんが点々とした理由は、いろいろなタイプのレストランを見聞して自分の求めるコンセプトを模索するためであった。例えば、神戸のレストランは高級店だったが、自分のスタイルとは違うのでは・・・、もっと素朴で豪快な方が合っているのではないかとに気づいた。「もっとカジュアルな感じにしたい」、そんな発想の起点になった。

     

    イタリアのリゾート地のような雰囲気 オーナーシェフの植松寛さん

     

    rosso nero

     

     2012年12月、ついに植松さんは自分のレストランを開店することにした。オープンに先立ってイタリアンに拘らず、いろいろなレストランやカフェを食べ歩きして店のデザインの参考にした。その中に古民家風のレストランがあった。「自分の店もこういう雰囲気にしたい」と植松さんは思った。

     そういう雰囲気のある物件を探したが、立地条件となかなか一致しない。仕方なく物件を購入し、ゼロから作り上げた。柱に古材を使い、それっぽくデザインしたのが、rosso neroである。そのような工夫が実現したのは、不動産業を営む父親、稔晶(としあき)さんの支援も大きい。

     今の日本建築は欧州に比べると粗末なものが多い。その場限りの実用性を優先する余り、「軒下文化」と揶揄される現象が起きている。本来、日本建築は理にかなった素晴らしい建物だ。しかし、それをわずか30年程で取り壊し、又建直す。常々稔晶さんは、この実情を「もったいない」と考えていた。

     最近、古民家所有者から「どうしたらよいか」との問い合わせが急増しているのだという。売却するか否かは別として、専門家に診断調査を依頼すると100年以上経った家でも手を加えれば、まだまだ使用できる家が何件もあるという。「使い捨ての時代は終わりにしたい。次の世代に引継がれる家造りを目指したい」それが稔晶さんの仕事にかける信念だ寛さんは、こうした父の後姿に影響を受けたに違いない。

     

    旬の素材を楽しむ ムール貝&ピッツァ

     

     メニューは、立地条件からファミリー向けが適当と判断した。ピッツァ、トマトソースやミートソースやカルボナーラのパスタ、誰もが知る定番メニューの需要が求められる。昼は主婦層、夜はお洒落で昔からイタリア料理嗜好のある年配夫婦、そして、土日や祝日は家族連れが訪れる。カジュアルな雰囲気ながらも、味には個性を生かして勝負しなければならない。Rosso Neroの料理は、日本人好みの和風調味料は使わず、あえてイタリアの味を貫いている。できるだけ旬の素材を使うよう心掛けているのも嬉しい。前菜に登場するナポリ伝統の揚げ物、ゼッポリーニは逸品、評価がとても高い。オープン当初は得意メニューに絞っていたが、最近は余裕も出来てきたのでバラエティーに富んだメニューづくりにもチャレンジしている。

     植松さんは規模が大きくなることはあっても、チェーン店は一切考えていないという。「人に任せて自分の店というのも違う気がする」と目が届かないとほころびが生じるという堅実な考え方、そして何より味を大切にする気もちが伝わってくる。植松さんの厨房はいつもピカピカで気もちがよい。それは、植松さんの潔癖な性格がなせる技、食の安心安全を絵にかいたようなレストランである。

     

                                       文と写真:奥村森

     

     rosso neroのホームページ

     http://rossonero.be5.net/

     

      植松稔晶さんが経営する(株)キューコーポレーションのホームページ

      http://cue41.com/

     

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    category:Restaurant レストラン | by:tanukuro2013comments(0) | -

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